裁判沙汰が絶えなかった天才芸術家カラバッジョ。
こちらは、1603年にカラバッジョがジョバンニ・バリーオーニ名誉毀損で訴えられた際の裁判所の記録です。
カラバッジョとその取り巻きがジョバンニ・バリオーネを中傷するソネットを広めたようで、その中には、
“お前の絵なんて誰も買わないから裸同然で街を歩くことになるに違いない、、、”
などとかなり痛烈な表現です。
しかし、この裁判所の記録によるとカラバッジョは、バリオーネは人間としても画家としても優秀だと答えたようで、実は、取り巻きの仕業だったのかもしれません。
この二人の争いは美術史上とても有名ですが、この時期に制作された当事者の作品といえば、
AMORE VINCIT OMNIA =愛の勝利
ビンチェンツオ ユステイニアーニ侯爵により依頼されたカラバッジョの代表作です。教会の力が非常に強かった当時の倫理観とはかけ離れた表現ですが、カラバッジョの評価をさらに高める作品となりました。
一方、バリオーニは、同じユステイニアーニ家の枢機卿ベネデイクトの依頼で、
『俗愛と聖愛』を制作します。
聖なる愛の力で反逆天使から救われるアモール、すなわち俗愛
ここで横たわるアモールは、まるでカラバッジョの絵に登場したアモールのようです。カラバッジョの絵をそしてそのタイトル自体も批判しているようですね。
一方この絵の評判は悪く、この不自然な鎧が、カラバッジョ達の中傷の対象になったとも言われています。
この2枚の作品はローマには存在しませんが、
書き直したバリオーネの作品は、ローマ国立古典絵画館でご覧いただけます。
不自然さは、拭い去られていないような気がしますが、、、私もソネットに洗脳されたのかもしれません😅